経営継続補助金に代わる支援制度をご紹介|2021年まだ間に合う!事業の継続に役立てよう

農林漁業者向けの補助金として設置されていた「経営継続補助金」ですが、2020年に公募を終了しており、以降は新たな公募は発表されていません。

経営維持に悩まされるのはどの業種でもあり得ることで、農林漁業者も例外ではないはずです。

今回は2021年10月以降も申請可能な農林漁業者向けの支援金制度や、農林漁業者が利用できる制度について調べまとめました。

経営維持や雇用維持に役立てることができますので、ぜひこの機会に申請を検討してみてください。

「経営継続補助金」は2020年で終了

画像出典:農林水産省

経営継続補助金とは、農林水産省によって設置された、新型コロナウィルス感染症拡大防止と販路開拓等を行う農林漁業者向けの支援金制度です。

新型コロナウィルス感染症の拡大防止に努めながら、経営維持のための販路開拓や業態転換などを行う農林漁業者を対象として、必要な設備導入費用などの経費の一部に関する補助が行われていました。

この補助金制度は2020年11月19日に締め切られた第二次公募以来、新たな公募の発表はありません。

しかし農林漁業者が利用できる支援制度は2021年10月以降もあります。ぜひ積極的に活用し、農林水産業の維持や今後の躍進を目指しましょう。

経営継続補助金に代わる農林漁業者向けの支援制度

早速、農林漁業者が利用できる経営継続補助金に代わるような制度について5つご紹介します。

既にご存じの制度もあるかもしれませんが、改めてそれぞれ詳しく見ていきましょう。今回ご紹介するのは以下5つの制度です。

  • 【農業向け】農業労働力確保緊急支援事業
  • 【水産業向け】水産業労働力確保緊急支援事業
  • 月次支援金
  • 雇用調整助成金
  • 6次産業化の推進支援事業

【農業向け】農業労働力確保緊急支援事業

農業労働力確保緊急支援事業は、農業生産の維持とともに人手不足を解消するための支援を行う事業です。

人材派遣の活用や農作業の委託、雇用予定だった人材が新型コロナウィルス感染症の影響で来られず、代わりの人材を雇用する際の費用などが対象となります。

  • 具体的な支援内容(主に人材確保に関する掛かり増し経費)
交通費 月3万円以内
宿泊・居住費 月10万円以内
1泊6000円以内
保険料 実費
労賃

1時間500円以内
(1日10時間まで)

支援の対象期間は2021年12月末日までとなっており、申請は特設ホームページから行います。

また、賃金支払い日の翌月末までに月ごとの請求が必要です。

  • 申請の際に注意すること

申請の前に、以下の4点について確認をしておきましょう。

  1. 基本的な要件は新型コロナウィルス感染症の影響により実習生の受け入れができず、人材不足となっている農業経営者であること
  2. 代わりに雇用した人材に関わる掛かり増し経費が対象であること
  3. 受け入れ予定だった人材の氏名や勤務内容と、代わりに受け入れる人材の氏名や勤務内容を証明する書類の提出が必要であること
  4. 補助対象となる労働が行われた日の一か月後までに案件の登録が必要であること

【水産業向け】水産業労働力確保緊急支援事業

農業労働力確保緊急支援事業が農業者向けであるのに対し、こちらは「水産業」に対象を絞った支援事業となります。

要件は農業労働力確保緊急支援事業とほぼ変わりありません。
新型コロナウィルス感染症の影響によって、雇用予定であった人材が雇用できなくなってしまったときの掛かり増し経費の一部が補助される内容です。

事業の対象期間は2021年12月末日、申請期限は2022年1月31日となっています。

また、農業労働力確保緊急支援事業の場合、保険料の支援は実費ですが、水産業の場合は一人あたり1か月2000円までの差額が支援され、農業とは少々異なりますので注意しましょう。

月次支援金

月次支援金は、農業や漁業を営む中小法人や個人事業主も対象となっており、もしも月次支援金について知らないようであれば、必ず確認しておきたい支援事業のひとつです。

緊急事態宣言やまん延防止措置に伴って休業や時短営業を行っている事業で、なおかつ2019年もしくは2020年の売り上げに比べて、2021年同月の売り上げが50%以上減少していれば支援対象となります。

中小法人は月20万円、個人事業主は月10万円を上限としており、2回目以降は簡単に申請できるようになることから、要件を満たしているようであれば申請してみるのがおすすめです。

雇用調整助成金

事業の経済的な理由によって、雇用者の一時休業や出向をやむを得ず行わなければならない場合には雇用調整助成金の活用を検討しましょう。

特例措置の公募要件については以下の内容を確認してみてください。

  1. 新型コロナウィルス感染症の影響によって事業が縮小している
  2. 直近1か月間の売り上げ、生産量が前年の同月に比べて5%以上減少している
  3. 「労使間の協定」に基づいて休業などを実施し休業手当を支払っている

また、助成率や上限額の引き上げが適用される特例措置についても期間が延長されており、2021年11月30日までの日にちを含む期間の賃金が対象となります。

雇用保険に加入していない労働者に関しては、雇用調整助成金と同条件の「緊急雇用安定助成金」での申請が可能です。

6次産業化の推進支援事業

「6次産業化」という言葉をご存じでしょうか。農林漁業における6次産業化とは、主に以下のような取り組みのことを指します。

  1. 農林水産業
  2. 製造業
  3. 小売りなどの販売業

そして「6次産業化の推進支援事業」とは、これらを一体的に行い、収益向上による経営維持はもちろんのこと、農山漁村の活性化や地域の知名度向上などを目指す事業者に対して様々な形で支援する制度のことです。

6次産業化の推進支援事業は販路開拓に対する支援が充実

  1. 商談会への出展に関わる旅費やブース代などの支援
  2. ブランディングや販路開拓に関しての相談をした場合は専門家を無料で派遣
  3. 加工や販売施設に関する整備費用を支援

農林漁業者との連携があれば、輸出や物流業者も支援事業を活用できます。このことからもわかるように、輸出に取り組む事業者への支援にも力を入れているようですね。

支援内容によっては交付金上限額1億円の制度もあり、大規模な販路開拓も視野に入れることができます。

6次産業化の推進支援事業を活用した事例

6次産業化の支援事業を利用した販路開拓は、全国の中でも多岐にわたって行われています。ここでご紹介するのは3つの事例です。

  • 経済価値の低い牛肉をブランド化

北海道では、経済価値が低いとされている「ブラウンスイス牛」をブランディングし、食肉加工の依頼が増加したという事例があります。

  • 上質なハトムギを栽培して作られたスキンケアオイル

ハトムギの栽培面積や生産量において、全国でもトップクラスといわれている富山県では、その上質なハトムギを栽培、抽出したスキンケアオイルが生産されています。

  • 冷凍加工を利用した本マグロのなめろう

青森県でとれた希少な天然本マグロを冷凍加工し、価値の高い商品生産を行った事業者の事例です。

冷凍加工ができれば、天候に左右されない海産物が生産できます。そこには「若者の漁業離れを食い止めたい」という事業者の気持ちがこめられているのです。

まとめ

今回は既に終了してしまった経営継続補助金に代わる、農林漁業者向けの支援事業について5つご紹介しました。

近年ではテレワークが普及していることが注目されていますが、農林漁業についても支援してくれる事業が充実していることがわかりました。

販路開拓から人材確保、雇用安定など幅広い取り組みに対応していますので、ぜひ検討してみてください。