フランチャイズにおける法人開業と個人開業の違いについて徹底解説

フランチャイズで開業をする際は法人で加盟する方法と個人で加盟する方法の2パターンがあります。

これら2つは主に税金関連における違いがあり、法人・個人のどちらにもメリットとデメリットがあるのです。

今回はフランチャイズでの法人加盟と個人加盟の違いについて詳しく解説していきます。

どちらにどのようなメリット、デメリットがあるのか、どのような違いがあるのか気になる方は参考にしてみてください。

フランチャイズにおける法人と個人の違い

  1. 開業手続きの違い
  2. 支払う税金の違い
  3. 経費計上できる項目の違い
  4. 社会的信用の違い

フランチャイズ以外のビジネスにも当てはまりますが、法人と個人では主に上記のような違いが挙げられるので、1つずつ解説をしていきます。

1.開業手続きの違い

個人が開業したい場合に行うことは税務署に開業届を提出するだけなので非常に簡潔です。

それも昨今では非対面で手続きできる環境が用意されているので、読み取り可能なスマホとマイナンバーカードがあれば自宅でも開業手続きを済ませられます。

一方で法人として開業する場合の手続きはやや煩雑で、実費だけでも22万円~24万円の費用が必要です。

利益が大きい場合など法人化した方が有利なケースももちろんありますが、開業手続きの難易度でいうと法人の方が難しいと言えます。

2.支払う税金の違い

種類 支払う税金
個人
  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税
法人
  • 法人税
  • 法人住民税
  • 地方法人特別税
  • 消費税

個人開業と法人開業では、支払う税金の種類にも違いがあります。

業種によっては支払う税金の項目が増えることもありますから、心配な人は事前にフランチャイズの本部へ確認しておきましょう。

個人開業の方が支払う税金が少ないイメージを持っている人も多いと思いますが、個人開業には収入に比例して増減する「所得税」が存在します。

そのため場合よっては個人開業の方が、手元に残るお金の割合が少ないケースもあるのです。

さらに次でご紹介する「経費計上できる項目の違い」もあるため、一般的には1年間の売上が1,000万円を超えるのであれば法人化した方が良いと言われています。

3.経費計上できる項目の違い

一般的にどのような仕事でも「経費」が発生し、もちろんフランチャイズビジネスも例外ではありません。

フランチャイズにおける代表的な経費といえば「ロイヤリティ」ですが、その他にも細かな必要経費が発生するでしょう。

また、法人と個人では経費計上できる項目に違いがあります。

具体的には法人の方が自分の給料を経費として計上できたり、法人の代表者に必要な費用を会社の経費として計上できたりするために有利な場面も多いです。

4.社会的信用の違い

法人は法人ならではの納税義務があったり、決算書の提出を求められたりするので、やはりその分個人よりも社会的な信用は得られやすい傾向にあります。

この社会的信用は何に活用できるのかというと、事業に必要な融資や各取り引き、集客などで、フランチャイズの売上向上に有利に働くことが期待できるのです。

上記のような理由から、フランチャイズは個人で加盟できるところも多いですが、法人のみ加盟を受け付けているところもあります。

【法人・個人共通】フランチャイズのメリット

メリット
  • 確率されたノウハウ・ブランド力・認知度・商標権などが利用できる
  • 手厚いサポートで未経験でも挑戦しやすい
  • 小規模で開業できる業種も多い

フランチャイズのメリットを簡単にまとめました。これらは法人、個人どちらにも共通して言えることです。

フランチャイズで開業する主なメリットは、やはり本部の経営努力によって獲得できたノウハウやブランド力、商標権や集客力など、あらゆる力をすぐに利用して店舗オープンができる点が大きいかと思います。

とくに事業運営の未経験が個人経営で開業するとなれば、すべて1から自分で用意をしなければならず、膨大な工数と時間がかかることでしょう。

また法人で加盟し大規模な事業を展開するフランチャイズもありますが、一人で実店舗を持たずに開業できるフランチャイズも多数あります。

【法人・個人共通】フランチャイズのデメリット

デメリット
  • 個人経営よりも利益率が低くなりがち
  • 基本的に本部の方針に沿った経営をする必要がある

フランチャイズで開業する主なデメリットは上記の通りです。

まず、フランチャイズでは本部の力を利用している以上は対価を支払う必要があるため、どうしても個人経営と比較して利益率が低くなりやすいというデメリットも挙げられます。

また経営方針や事業の進め方としてもフランチャイズは本部の意向に沿う必要がありますから、人によっては自由度が低いと感じることもあるでしょう。

フランチャイズを法人で開業する際の注意点

フランチャイズは個人で開業するのももちろん良いですが、様々な理由で法人で開業したいとお考えの方もいるでしょう。

この項目では法人で開業する際の注意点を以下4項目に分けでお伝えします。

  1. 法人での事業内容について
  2. 必要な資本金について
  3. 本店所在地について
  4. 会社名について

法人での事業内容について

法人で会社を設立する際は、法人の目的や組織、活動、構成員、業務執行などに関する基本規約や規則をまとめた「定款」と呼ばれる書類の提出が必要となります。

会社設立後にできる事業内容はこの「定款」に書かれていることのみで、それ以外の事業を行う際は登記内容を変更しなければならず面倒です。

そのためフランチャイズを法人で始める際はしっかりと事業内容について確認し、正しい内容を定款にまとめるようにしましょう。

必要な資本金について

資本金とはいわゆる会社の「元手のお金」のことを指します。

法改正が進み、起業自体は法人でも1円の資本金からできるようになっていますが、客観的に見て社会的信用が得られず、融資が受けずらくなることがあるため注意しましょう。

セオリーとしては初期費用と約半年分程度の事業資金がある状況が理想です。

また資本金を1,000万円以下に設定しておけば、法人税を節約したり2年間の消費税免除が受けられるといったメリットがあります。

本店所在地について

本店所在地とは会社の本拠地を示すもので、会社設立前に必ず決めておく必要があります。

基本的にはどこに設定しても構わないものの、実店舗を持つ場合は出店予定の場所を確保したあとに手続きを進めることになります。

なお事務所としての利用が認められない物件については登記できませんが、以下のような住所は会社の本店所在地として登記することが可能です。

  • 自宅
  • 賃貸事務所
  • レンタルオフィス
  • バーチャルオフィス
    など

会社名について

オフィスビルなどを利用して自分の事業を開業することもあるかと思いますが、同一住所に同じ名前(会社名・商号)の会社を2社以上おくことはできません。

そのため複数の会社が入っているようなビルの中に事務所や本拠地をおく際は、自分の会社名と同一名の会社がないか必ずチェックしておきましょう。

また場所が違っていれば同じ名前の会社を設立することもできますが、「不正競争防止法」という法律によって相手側の会社に訴えられてしまう可能性もあるため十分に注意する必要があります。

まとめ

今回はフランチャイズにおける法人開業と個人開業の違いなどについて詳しくお伝えしました。

個人・法人どちらにもメリット、デメリットがあるので、事業規模や見込み収入、経済の状況などにあわせて選択するのが良いでしょう。