個人輸入の関税はいくらから?支払うタイミングなどの基礎知識を徹底解説

個人輸入は商品を安く入手するための手段として活用されています。

そんな個人輸入をやってみようと思ったとき、まず気になるのが「関税」についてではないでしょうか。

今回は個人輸入をする際の関税はいくらからなのか、また支払うタイミングなどの基礎知識について詳しく解説します。

個人輸入の関税はいくらから?

まずはじめに覚えておきたいのが以下の2点です。

  1. 個人輸入では商品価格の60%が課税対象となる
  2. 課税対象額10,000円までは免税となり、関税はかからない

つまり、「課税対象額10,000円=商品小売り価格が16,666円程度」を超えると「関税」がかかるということになります。

個人輸入の関税は「海外での小売価格×60%」という式で算出できるので、小売価格10,000円÷0.6=16,666円となったわけですね。

個人輸入と一般輸入の違い

前述した関税はあくまでも個人利用が目的の「個人輸入」の場合です。

これが商業利用を目的とした「一般(商業)輸入」となると、関税の計算方法は「海外小売価格+運送費+輸入保険料」といったものに変わります。

例として20,000円の商品を各輸入方法で入手したとして、運送費+保険料が3,000円、関税率が10%だったとしましょう。

  • 個人輸入の場合の関税:(20,000×0.6)×10%=1,200円
  • 一般輸入の場合の関税:(20,000+3,000×0.6)×10%=1,380円

個人輸入と一般輸入では180円の差額が発生することが分かりました。

たったの180円程度と思われがちですが、商業目的で仕入れる際は大量に仕入れるケースが多いため「たったの180円」が積み重なり、年単位で見ていくと非常に大きな金額となるのです。

【簡易税率】課税対象額が1万円以上~20万円以下

具体的な品目の例 関税率
酒類
(1) ワイン
(2) 焼酎等の蒸留酒
(3) 清酒、りんご酒 等
70円/リットル
20円/リットル
30円/リットル
トマトソース、氷菓、なめした毛皮(ドロップスキン)、毛皮製品 等 20%
コーヒー、茶(紅茶を除く)、なめした毛皮(ドロップスキンを除く)等 15%
類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く) 等 10%
プラスチック製品、ガラス製品、卑金属(銅、アルミニウム等)製品、家具 等 3%
ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、すず製品 無税
その他 5%

引用:税関「少額輸入貨物の簡易税率

課税対象額が10,000円を超えると関税がかかることが分かりましたので、次に関税率を見ていきましょう。

課税対象額10,000円以上~200,000円以下の場合は「簡易税率」が適用され、迅速な手続きが可能となります。

ただし、以下のような商品は10,000円以上~200,000円以下でも簡易税率の対象外となるため注意が必要です。

簡易税率の対象外となる品目の例

  • ミルク及びその加工品
  • 米などの穀物とその調製品
  • 落花生・コンニャク芋
  • 肉・魚介類の調整品
  • たばこや精製塩
  • 石油
  • メントール
  • 旅行用具、ハンドバッグなどの革製品
  • ニット製の衣類
  • 履物
    など

これらの商品は次でご紹介する一般税率が適用されます。

【一般税率】課税対象額が20万円以上

一般税率は課税対象額が200,000円以上となった場合や、簡易税率対象外の品目に適用され、各品目ごと・相手国ごとにかなり細かく税率が分かれています。

一般税率については税関が発行している「実行関税表」を参考にしてください。

各品目、相手国ごとの税率が表として分かりやすく掲載されています。

実行関税率表(2023年4月1日版)

関税はいつ支払うの?

関税が発生した場合の支払うタイミングは「荷物を受け取る時」です。

荷物を受け取るときに関税額は配達員に支払うことで、関税を納めたことになります。

個人輸入で発生する3つの費用

個人輸入を行うと、主に3つの費用が発生します。

  1. 関税
  2. 消費税
  3. 通関手数料

これらは基本的に同じタイミングで算出されるため、自分で事前に費用計算をする際はこれら3つの費用を含める必要があります。

関税

「個人輸入」「一般輸入」どちらにおいても所定の条件によって関税が発生します。

関税が発生するのは課税額10,000円(小売価格にして16,666円程度)からで、個人輸入の場合は海外での小売価格の60%が課税対象です。

課税額が10,000円以上~200,000円以下では「簡易税率」、200,000円以上は「一般税率」が適用されます。

ただし課税額が200,000円以下の場合であっても、簡易税率対象外の品目に関しては一般税率が適用されるため予め把握しておきましょう。

消費税

個人輸入の場合、消費税は関税と同じく商品小売価格の60%に対して課税されます。

2023年6月時点の消費税は10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)です。

通関手数料

輸入された商品の通関手続きは宅配業者が行っているので、宅配業者に対して通関手数料を支払う必要があります。

ヤマト運輸や佐川急便の場合は通関手数料が宅配料金に含まれており、国際郵便では一律200円の通関手数料が発生します。

また、国際宅配サービスのDHLの場合は運送状1枚あたり1,000円、もしくは立替額の2%が通関手数料です。

個人輸入で関税以外に気をつけるべきポイント

個人輸入を行う際は、関税以外にも気をつけるべきポイントがいくつかあります。

  1. 輸入禁止や規制がかけられている品目を理解する
  2. 複数の荷物がある場合は合計金額で判断される
  3. 化粧品・医薬品の輸入には数量の制限がある

今回は上記の3つについて解説しますので参考にしてみてください。

輸入禁止や規制がかけられている品目を理解する

海外の商品の中には、輸入自体が禁止されていたり規制がかけられていたりする品目があります。

輸入が禁止されているものの一例

  1. 麻薬、向精神薬、大麻、覚醒剤ほか吸煙具
  2. 指定薬物(医療等の用途に供するために輸入するものを除く)
  3. けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及びけん銃部品
  4. 爆発物
  5. 火薬類
    など

今回は輸入が禁止されている一部の品目を例として挙げましたが、上記以外にも禁止品目は多数あり、輸入に規制がかけられているものも存在します。

これらを確認せずに輸入してしまうと、たとえ悪意がなくても違法となるため、個人輸入を行う際は必ず事前に確認しておきましょう。

詳しくは税関の「輸出入禁止・規制品目」をご確認ください。

複数の荷物がある場合は合計金額で判断される

冒頭では商品小売り価格が10,000円以下であれば免税となる旨お伝えしましたが、複数の商品を購入した場合は「合計金額」で判断されます。

  • 複数の荷物に分けて届いた
  • 複数の商品が1つの包装で届いた
  • 別々に配送されたものの、差出人、受取人、郵送時期が同じ

たとえば上記のような場合は、各商品の合計金額によって関税が決まるため覚えておきましょう。

化粧品・医薬品の輸入には数量の制限がある

化粧品や医薬品の輸入自体はできるものの、輸入できる数量に制限があります。

カテゴリ 品目 制限内容
医薬品または医薬部外品
  • 外用剤(毒薬、劇薬及び処方箋薬を除く)

外用剤:軟膏などの外皮用薬、点眼薬など

処方箋薬:有効で安全な使用を図るため、医師による処方が必要とされる医薬品

  • 毒薬、劇薬または処方箋薬
  • 上記以外の医薬品・医薬部外品
  • 外用剤:標準サイズで1品目24個以内
  • 毒薬、劇薬または処方箋薬:用法容量からみて1ヶ月分以内
  • 上記以外の医薬品・医薬部外品:用法容量からみて2ヶ月分以内
化粧品 化粧品

化粧品:標準サイズで1品目24個以内

例:口紅の場合、ブランドや色などに関わらず24個以内

上記のほかにも医療機器や、再生医療等製品など輸入の数量に制限が設けられている品目がいくつかあるため、該当商品を輸入する予定のある方は必ず事前に確認しておきましょう。

詳しくは厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」をご確認ください。

まとめ

今回は主に個人輸入の関税について詳しくお伝えしました。

繰り返しお話していることにはなりますが、個人輸入では課税対象額10,000円以上、つまり商品小売り価格16,666円以上で関税がかかります。

そして課税対象額10,000円以上~200,000円以内(対象外品目あり)には「簡易税率」、課税対象額200,000円以上には「一般税率」が適用されることを覚えておきましょう。