個人輸入初心者必見!簡単にできる海外ショッピングの全手順

T.ナギサ
この記事の執筆者
ECコンサルタント|元EC事業会社のマーケ担当→大手メディア編集・制作を経て入社。D2Cブランドや中小企業のEC事業立ち上げ・改善支援を中心に活動中。特に「商品はあるが売上が伸びない」「運用が属人化している」などの課題解決が得意です。戦略設計から商品ページ改善・SNS活用まで一気通貫でサポートします。クライアントの売上向上と業務効率化にコミットする現場主義タイプ。
2025年の輸入・輸出物販市場トレンド
2025年の輸入・輸出物販市場トレンド

最新の輸入・輸出物販市場の最新トレンドを、実際の販売データに基づいて分析。
今後「確実に売れて利益が見込める商品」を厳選してご紹介します。

「来年、本当に売れる商品は何?」
「どのカテゴリに参入すれば、利益を最大化できる?」

など、売れる商品選びに欠かせない情報をギュッと詰め込みました!ぜひともご活用ください。

個人輸入は、海外の魅力的な商品を自宅にいながら購入できる便利な方法です。近年ではスマートフォンやパソコンから簡単に海外通販サイトへアクセスできるようになり、以前よりも手軽に始められるようになりました。

一方で、関税や規制、通関の手続きなど、日本国内の買い物とは異なるルールやリスクも存在します。ここでは、輸出入ビジネス経験者の知見や実際の事例を踏まえ、基礎知識から手順、トラブル回避、ビジネス活用まで体系的に解説します。

Table of Contents

個人輸入初心者が知っておくべき基礎知識

個人輸入とは、商業目的ではなく、個人が自分で使用・消費するために海外から商品を直接購入し輸入することを指します。Amazon.comやeBay、海外ブランド公式ショップなどから直接購入するケースや、輸入代行業者を経由するケースがあります。

メリット
・国内未発売の商品が入手できる
・為替や現地価格差によるコストメリット
・海外限定モデルや特注品の購入が可能

デメリット
・関税や消費税の負担
・配送トラブルや返品の難しさ
・偽造品や品質リスク

規制について

日本では関税法や薬機法、商標法など、商品によって輸入規制が異なります。例えば医薬品や食品は数量制限があり、ブランド品は偽物防止のため税関で確認される場合があります。事前に税関や厚生労働省の公式サイトで確認することが重要です。

個人輸入の手順を徹底解説

海外から商品を取り寄せる「個人輸入」は、慣れてしまえばシンプルですが、初めての方にとっては通関や関税、支払い方法など unfamiliar な要素が多く、どこから手をつけて良いのか分からないことも多いでしょう。

ここでは、信頼できる海外通販サイトの選び方から輸入代行業者の活用法、必要書類や通関手続き、さらには費用の内訳まで、実務経験をもとに分かりやすく順を追って解説します。

では、それぞれの項目をさらに丁寧に解説します。初心者がつまずきやすいポイントや、実務上の判断基準、経験者ならではの注意点を加えました。

海外通販サイトの選び方と注意点

1. 信頼性の高い販売元を選ぶ
海外通販は価格や品揃えの魅力がありますが、詐欺サイトや偽物販売も存在します。
選定時には以下を確認しましょう。

  • 公式サイトまたは正規代理店:ブランド公式ページや認定ショップリストをチェック
  • 運営実績:最低でも3年以上の運営歴、複数の実取引レビュー
  • セキュリティ表示:URLが「https://」で始まり、SSL証明書が有効か

2. レビュー・評価の読み方
高評価のみのレビューは自作自演の可能性もあるため、低評価の理由も必ず確認します。配送遅延や返品対応の質は特に重要です。

3. 支払い方法の選択
PayPalやクレジットカードなど、買い手保護制度がある手段を選びます。銀行振込やWestern Unionなど、返金保証が弱い手段は避けたほうが無難です。

4. 注意すべきポイント

  • 通貨表示(米ドル/ユーロ/現地通貨)によって実際の支払額が変動
  • 送料無料でも関税や国内送料が発生する場合あり
  • バッテリー搭載品や大型商品は発送制限がある

輸入代行業者の利用

1. 利用するメリット

  • 海外サイトの注文・決済・現地配送を代行
  • 通関・国際輸送の経験が豊富で、規制対応もスムーズ
  • 英語や現地言語が苦手でも利用可能

2. 業者選定のチェックポイント

  • 手数料体系:定額か商品代金の◯%か
  • 取扱実績:自分が輸入したいジャンルに強いか(例:アパレル、家電、食品)
  • 通関サポート:規制商品や商標権関係の事前確認をしてくれるか
  • 保証制度:破損・紛失時の補償範囲

3. 利用時の注意点

  • 業者を経由しても輸入者はあなた本人になるため、税関や関税支払いの責任は残る
  • 国際送料や代行手数料で割高になることもあるので、価格シミュレーションは必須

必要な書類と通関手続き

1. 基本的に必要な書類

  • インボイス(Invoice):商品名・数量・単価・合計金額・原産国などを記載
  • 支払証明書:クレジットカード明細やPayPalの支払い完了画面
  • 運送状(AWB/Bill of Lading):配送会社が発行する書類

2. 商品によって追加される場合がある書類

  • 薬機法対象品:輸入確認書や厚生労働省の許可書
  • 動植物:検疫証明書
  • ブランド品:正規品証明や仕入れ証明

3. 通関の流れ(航空便の場合)

  1. 商品が日本に到着
  2. 通関業者または税関による書類確認
  3. 必要に応じて関税・消費税の算出
  4. 関税等の支払い → 商品引き渡し

費用の内訳例

以下は、海外通販で衣類を個人輸入する場合の費用構成例です(為替1ドル=150円、商品代金200ドルの場合)。

項目金額(目安)説明
商品代金30,000円現地価格200ドル換算
国際送料4,000〜6,000円EMS・FedEx等で重量・サイズにより変動
関税約1,500円衣類関税率(10%)を簡易計算
消費税約3,150円(商品代+関税)×10%
輸入代行手数料3,000〜5,000円業者による
合計約41,650〜44,650円代行なしなら手数料分減額可

💡 実務アドバイス
・商品価格だけでなく「到着までの総コスト」を見積もることが重要です。
・関税はHSコードによって変わるため、税関のサイトで事前確認を推奨します。
・大型・重量物は送料が急激に上がるため、まとめ買いより分割輸入が安い場合もあります。

トラブル回避のためのヒント

個人輸入は、海外から魅力的な商品を直接購入できる一方で、国内のネットショッピングにはない特有のリスクがあります。配送の遅延や破損、偽物、通関での留め置きなどは、事前の準備や確認を怠ると簡単に発生してしまいます。

ここでは、初めての方でも安心して取引できるよう、到着前の予防策から到着後のチェック、トラブル発生時の対応方法までを具体的に解説します。

到着前にできる予防(7か条)

  1. 販売元の真正性確認:公式サイト/正規代理店リスト、運営年数、会社住所・電話、返品規約、有効なSSL証明を確認。
  2. 支払いの安全性:PayPalまたはチャージバック可能なクレカを使用。デビット・銀行振込先払いは避ける。
  3. 商品ページ保存:商品説明・価格・写真・規格(電圧・プラグ・サイズ)をスクショ保存(後の証拠)。
  4. 発送・保険:追跡あり・補償ありの配送を選択。リチウム電池・危険物は発送可否を事前確認。
  5. 規制チェック:薬機法・食品衛生法・電波法(技適)・PSE/PSC 等の対象か事前に確認。
  6. 費用見積:商品代+国際送料+保険+関税・消費税の総額で判断(過少申告依頼はNG)。
  7. 返品ポリシーとRMA:返品期限、返送料負担、補償の範囲を明文化(メールで合意を残す)。

トラブルを防ぐ第一歩は、購入前の段階で十分な下調べをすることです。購入先は必ず信頼できる販売元を選びましょう。公式サイトや正規代理店リストを確認し、運営年数や会社住所、返品規約が明記されているかもチェックします。安全な支払い方法を選ぶことも重要で、PayPalやクレジットカードなど買い手保護制度がある手段を利用すれば、万一のトラブルでも返金請求が可能です。

また、商品ページや価格、仕様などはスクリーンショットで保存しておくと、注文内容を証明する際に役立ちます。配送は必ず追跡番号付き・補償付きの方法を選び、特に高額品や壊れやすい商品には保険をかけておくことが安心です。さらに、薬機法や食品衛生法、電波法など、日本国内での規制対象となる商品は、輸入可能かどうか事前に確認しましょう。

到着直後の必須チェック(48時間ルール)

商品が到着したら、できるだけ早く開封し状態を確認することが大切です。外箱の外観から開封までを動画で記録し、同梱物や梱包状態も写真に残しておきましょう。注文内容と照らし合わせて、色やサイズ、数量に相違がないか、シリアル番号や型番も確認します。電化製品であれば動作確認も忘れずに行います。特に海外規格の商品は電圧やプラグ形状が異なる場合があり、変圧器や変換プラグが必要になることもあります。

破損や内容相違などがあれば、遅くとも48時間以内に販売店へ連絡し、写真や動画、注文番号、追跡番号など必要な情報を添えて対応を求めます。この「初動の早さ」が、その後の返品・交換の成否を左右します。

・梱包外観を撮影 → 開封から同梱物確認まで動画で記録(破損・同梱漏れの証拠)。
・シリアル番号・型番・色・サイズを注文書と照合。
・動作確認(電圧・プラグ・規格差に注意)。
・不備があれば48時間以内に販売店へ連絡(写真・動画・注文番号・追跡番号を添付)。

トラブル別「初動→予防→NG」早見表

典型トラブル初動(24–48h)予防策やってはいけない
未着・長期遅延追跡番号で動静確認→運送会社へ捜索依頼→販売店へ連絡(期限内)追跡・補償付き便/ピーク期を避ける追跡なし・無補償便の選択
輸送破損外箱・製品の損傷写真+開封動画+梱包材写真を提出→配送会社の保険申請緩衝材・保険あり配送を指定梱包等の証拠を捨てる
内容相違・欠品商品ページスクショと比較写真を添付し即時連絡商品ページ保存・同梱書控え保管連絡前に自力修理・改造
偽物疑いシリアル照合・真贋証明依頼→販売店/ブランド窓口→決済会社保護制度活用正規販売店から購入“安すぎる”出品へ即断購入
通関留置・追加書類インボイス・決済明細・商品説明を即提出。規制品は必要書類相談事前に規制確認・明細整備過少申告や「ギフト」虚偽申告
課税額に疑義明細・価格根拠(注文確認・決済画面)提出、再確認を依頼商品ページと領収書保存根拠なく値段を言い張る
返品拒否・高額返送料規約の該当箇所を引用し交渉→RMA番号取得→追跡返送返品条件の事前確認・国内倉庫のある店を選ぶRMAなしで返送
規格不適合(電圧・技適)使用中止。変圧器・アダプタ検討、無線は技適未取得なら国内使用不可規格確認(PSE/PSC/技適・電圧)無資格の無線機器を使用

配送遅延や未着の場合は、まず追跡番号で状況を確認し、必要に応じて配送業者に捜索依頼をかけます。その上で販売店にも連絡を入れ、見込み到着日を確認しましょう。輸送中の破損は、梱包や商品の損傷写真、開封動画、梱包材の状態などを証拠として提出し、保険の適用を求めます。

偽物の疑いがある場合は、シリアル番号の照合や真贋証明を販売元またはブランド公式に依頼します。もし正規品でないことが確認できれば、PayPalやカード会社の買い手保護制度を利用して返金手続きを行います。通関で留め置かれた場合は、インボイスや決済明細、商品説明などを即時提出し、規制品であれば必要書類を整えて対応します。

連絡テンプレ(英語・すぐ使える)

破損・欠品の申告

Hello, my order #12345 arrived damaged/missing items.
Please see attached photos/videos and the unboxing video.
Kindly advise on replacement or refund and provide an RMA.

未着・遅延の照会

Hello, tracking #ABC shows no update since [date].
Could you investigate with the carrier and confirm the expected delivery date?

偽物の疑義

Hello, I have concerns regarding authenticity.
Please confirm the serial number and provide proof of authenticity. Otherwise I will request a refund through the payment provider.

返品・返金の実務(3パターン)

返品手続きは、発送前であれば無償でキャンセルできる場合が多いですが、発送後はRMA(返品承認番号)を取得してから追跡可能な方法で返送する必要があります。

返送料や再入庫手数料の有無は事前に確認し、規約に基づいて交渉を行います。偽物や重大な不備の場合は、返送料なしで全額返金となるケースもあります。

  1. 未発送キャンセル:発送前なら無償キャンセル可が多い。即連絡。
  2. 受領後返品:RMA取得→追跡返送。返送料・再入庫費(restocking fee)の有無を事前確認。
  3. 補償・チャージバック:偽物・未着・重大不備はPayPal/カードの買い手保護を活用(エビデンス必須)。

通関・課税まわりで揉めないコツ

輸入品は、国内法令に基づいた規制を受けることがあります。医薬品や化粧品は薬機法により数量や成分に制限があり、食品やサプリメントは食品衛生法の対象となります。無線機能付き機器は電波法に基づき「技適マーク」がないと国内で使用できません。

また、電気製品はPSEマーク、特定消費製品はPSCマークが必要です。ブランド品については、商標法により正規品でなければ輸入禁止となり、偽物は没収・廃棄される可能性があります。

  • インボイスの正確性:商品名(一般名)、数量、単価、運賃、原産国を明記。
  • 過少申告NG:没収・罰則・補償無効のリスク。
  • 評価根拠の準備:注文確認メール、決済明細、商品ページのスクショを1セット保管。
  • 問い合わせ先:税関からの通知メール/不在票は即対応(期限切れ=返送の可能性)。

※ 少額の輸入でも、品目や価格次第で関税・消費税が発生します。税率はHSコード・用途・素材で異なるため、最新の税関情報で確認してください。

法令・規制でつまずかないために(代表例)

  • 薬機法:医薬品・医療機器・化粧品は数量・成分・表示に制限。
  • 食品衛生法:健康食品・サプリ・食品添加物は要注意。
  • 電波法(技適):無線機能付き端末は国内使用に技適マークが必要。
  • PSE/PSC:電気用品・特定消費製品の安全認証。
  • 商標法:ロゴ入り品の並行輸入は“真正品”であることが前提。偽物は没収・廃棄。

トラブルを未然に防ぐためには、「事前確認」「証拠の保存」「迅速な初動」の3つを徹底することが重要です。安さやレア度だけに目を奪われず、総コストとリスクを考慮した上で購入判断を行いましょう。

また、販売元とのやり取りは必ず記録に残し、必要に応じて英語で簡潔かつ礼儀正しいメッセージを送ることで、円滑な対応を得やすくなります。

エビデンス・パック(保存すべき書類とデータ)

  • 注文確認メール/請求書(Invoice)/支払明細(PayPal/カード)
  • 商品ページのスクショ(説明・価格・写真)
  • 追跡番号・配送ラベル写真
  • 開封動画・破損写真・シリアル番号の写真
  • 返品承認(RMA)メール・やり取り全文

小さく効くプロのコツ

  • 通貨手数料の最適化:カード側の為替手数料より“現地通貨決済”がお得なことが多い。
  • 大型・重量物は分割:1回の国際送料急増や通関トラブルの集中を回避。
  • 高額品は受取時検品:宅配員立会いで外観写真を撮り、すぐに記録を残す。
  • 代行業者の得意領域を使い分け:アパレルに強い、電子機器に強い等で事故率が下がる。

個人輸入のトラブルは“運”ではなく“設計”で減らせます。買う前の確認・証拠の保存・48時間以内の初動を徹底すれば、未着・破損・偽物・通関留置の多くは可視化と交渉材料で解決できます。

価格だけでなく総コストとリスクで意思決定し、販売元とのコミュニケーションを“記録に残す”運用にする――これが長く安心して個人輸入を楽しむための最短ルートです。

個人輸入で取り扱える商品とは?

個人輸入は「自分や家族で使う目的」であれば、多くの一般消費財(衣類・靴・書籍・雑貨・一部の家電など)は比較的シンプルに輸入できます。

一方で、医薬品・医療機器・食品・動植物・無線機器(Bluetooth/Wi-Fi)・ブランド品は、数量上限証明書国内使用上の制限が細かく決まっています。販売・譲渡を前提にすると別制度(営業輸入)に移行し、必要な許認可が一気に増える点に注意してください。 税関ポータル

医薬品・医薬部外品・化粧品

  • 医薬品(内服薬など):原則2か月分以内。ただし処方薬/毒薬・劇薬は1か月分以内に限定。数量を超える場合や例外品は輸入確認証(旧:薬監証明)が必要です。販売・譲渡は不可。 厚生労働省
  • 外用剤(点眼・軟膏など)標準サイズで1品目24個以内厚生労働省
  • 化粧品標準サイズで1品目24個以内(色やブランド違いでも「口紅」など同一品目は合算)。 厚生労働省+1
  • サプリメント:多くは「食品」扱いですが、医薬成分を含む/医薬的効能を標榜すると「医薬品扱い」になり、上記ルールが適用されます。 厚生労働省

実務のコツ:注文画面や成分表のスクショを保管し、税関・厚生局から確認を求められた際に即提出できるようにしておくとスムーズです(数量超過や成分照会はよくある確認事項です)。

医療機器(家庭用・美容機器を含む)

  • 家庭用医療機器(例:家庭用マッサージ器など)は最小単位(通常1セット)まで。
  • 使い捨て医療機器(例:使い捨てコンタクト)は2か月分以内
  • 体外診断薬(排卵検査薬など)は2か月分以内
  • 医家向け機器(医療機関用)は個人輸入不可。また、美容機器でも人体の構造・機能に影響するものは医療機器扱いになり得ます。数量超過は輸入確認証が必要。 厚生労働省

新しい海外ガジェット型ヘルスデバイスを個人輸入する場合は、医療機器該当性(効能表現・機能)と国内使用の適法性(下記「無線機器」)の2点を必ず確認しましょう。

無線機能付き機器(スマホ・イヤホン・見守りカメラ等)

日本国内で使用するには、技術基準適合(いわゆる「技適」)が必要です。技適が無い海外機器の国内使用は電波法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金等の対象になり得ます。

商品を輸入すること自体よりも、日本で使う行為に法的リスクがある、という理解が安全です。型番検索は総務省の技適検索DBで可能。 cleandenpa.nettelec.or.jp

実務のコツ:商品ページやマニュアルに技適マーク/認証番号の記載が無い場合は、国内使用不可前提で検討するか、日本版モデルの選択を。


食品・飲料

個人用(自家消費)の少量であれば、食品等輸入届出(営業用の届出)は原則不要です。実務目安として、1品目10kg以内は個人用として取り扱われる運用が周知されています(ただし税関が「確認願」を求めることや、特定品目に別手続がかかることあり)。 厚生労働省Forth税関ポータル

  • 畜産物・肉製品(ハム・ソーセージ・ジャーキー等)動物検疫の対象。お土産・個人消費でも証明書の取得が難しく、ほとんど持込不可が実務運用。国際郵便でも同様。 農林水産省+1
  • 乳製品:携帯品としての持込みは対象外となる例もある一方、貨物として輸入する乳製品は動物検疫の対象。制度は品目・ルートで変わるため事前確認が安全。 農林水産省+1
  • 植物・果物・苗植物検疫証明(Phytosanitary Certificate)必須。一部は持込禁止。購入先や数量を問わず、検査未了の植物は税関に回せません農林水産省+1

実務のコツ:食品は用途(販売か個人用か)と重量・品目で手続が変わります。疑義があれば最寄り検疫所に事前相談し、確認願の扱いを確認しておくとトラブルを回避できます。 Forth税関ポータル

ブランド品(真正品/偽物)

真正品の並行輸入は、個人使用の範囲であれば基本的に可能です。一方、模倣品(偽物)や知財侵害品は、関税法上の禁止貨物として税関で水際差止の対象。近年は制度改正により、「個人使用目的」でも差止が強化されています。 税関ポータルRYUKA国際特許事務所

実務のコツ:出所が不明瞭/価格が相場から大きく乖離する商品は避ける。領収書・出荷元情報を必ず保管し、照会に備える。

郵便・貨物サイズと「商用扱い」への切替えライン

課税価格が30万円超になると、旅具扱いではなく商用貨物としての通関手続が必要。個人輸入であっても、数量や価格が大きいと商用判定になることがあります。 税関ポータル

ざっくり比較表(「扱える/扱えない」の見取り図)

カテゴリー個人輸入の目安追加要件・禁止所管・根拠
一般消費財(衣類・雑貨)原則可偽物は禁止(税関で差止)税関の知財侵害取締り 税関ポータル
医薬品(内服等)2か月分以内、処方薬等は1か月分超過は輸入確認証、販売・譲渡不可厚労省ガイド 厚生労働省
外用剤・化粧品1品目24個以内販売・譲渡不可厚労省Q&A等 厚生労働省+1
家庭用医療機器1セット、使い捨て・体外診断は2か月分医家向けは不可厚労省ガイド 厚生労働省
食品(個人用)目安1品目10kg以内営業用は届出必須、確認願あり得る検疫所・税関資料 Forth厚生労働省税関ポータル
肉製品原則不可(個人消費でも証明取得困難)動物検疫対象、違反は厳罰動物検疫所 農林水産省
乳製品ルートにより検疫必要貨物輸入は検疫対象動物検疫所・JETRO 農林水産省ジェトロ
植物・果物・苗検疫証明必須、禁止品有証明なければ通関不可植物防疫所 農林水産省
無線機能付き機器輸入は可でも国内使用は技適必須違反は刑事罰あり総務省関連・推進員会 telec.or.jpcleandenpa.net

よくあるグレーゾーンの見分け方

  • 海外で「サプリ」表示でも、日本では医薬品扱いになることがある(効能表示や成分で判断)。成分リストを保存し、医薬品該当性を確認。 厚生労働省
  • 美容機器でも、身体機能に作用すると判断されれば医療機器扱い。販売ページの効能表現で判断が変わるため、スクショ保管が有効。 厚生労働省
  • スマホ・イヤホン・見守りカメラなどの無線機器は、日本で使うなら技適が鉄則。型番で検索して裏取りを。 telec.or.jp

個人輸入は「自家消費・適量・証拠保全」の三点を守れば、驚くほどスムーズです。逆に、効能をうたうモノ(医薬・医療機器)生き物由来(肉・乳)電波を出すモノ(技適)知財(ブランド品)の4領域は、先にルールを読む→証拠を揃えるの順で進めるのが事故を減らす近道。

現場では、商品ページ・成分表・数量計算・型番のスクショを発注前に保存する運用だけで、通関トラブルと差し止めの多くを未然に防げます。

参考リンク(一次情報・公式中心)
・厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」:数量上限/輸入確認証、医薬品・化粧品・医療機器の基準。 厚生労働省
・日本税関「Customs Answer/関連法令の整理・商用貨物の基準」:通関・他法令の確認口。 税関ポータル+1
・植物防疫所:植物の持込みは検疫証明必須・一部禁止。 農林水産省
・動物検疫所:肉製品は原則不可/乳製品は検疫対象。 農林水産省+1
・総務省関連(技適検索:TELEC案内/電波適正利用推進員協議会):国内使用は技適必須・罰則。 telec.or.jpcleandenpa.net
・検疫所・MHLW:食品等の営業用届出と個人用の扱い・10kg目安、確認願。 厚生労働省Forth税関ポータル
・税関(知財侵害の水際差止):模倣品の差止強化。 税関ポータル

個人輸入をビジネスに活かす方法

個人輸入は「自分用の買い物」から一歩進めるだけで、小さな輸入販売ビジネスに展開できます。成功のコツは、①規制順守(何を・どれだけ・どう売るか)、②単位経済性(1点あたりの利益構造)、③集客と再購入(LTV設計)、④在庫・為替・返品のリスク統制――の4点を“仕組み”にすることです。

以下、現場でそのまま使える設計図としてまとめます。

ビジネスモデルの選択(自分の体力・規制・資金に合わせる)

モデル概要強み弱み/注意向く人
直輸入・在庫販売(D2C/自社EC)仕入れて国内在庫→自社サイト/実店舗で販売価格決定権/ブランド構築在庫・キャッシュ負担、規制対応独自性で差別化できる
直輸入→モール販売(Amazon/楽天等)仕入れてFBA等で販売集客力/物流の外部化手数料高・相乗り/価格競争早く回したい
予約販売/共同購入先に注文を集めてから発注在庫リスク圧縮納期長/クレーム管理SNSで訴求できる
代行/キュレーション個別依頼を受けて輸入在庫ゼロで開始手数料上限/スケール性ニッチの目利きがある

重要:並行輸入(真正品の再販売)でも、商標・薬機・電波法・PSE/PSCなど用途や品目で規制が異なります。個人使用のルールは“営業輸入”では通用しない点に注意。

何を売るか(勝てる領域の見つけ方)

  1. 価格裁定:海外価格と国内価格の乖離(総コスト後)を比較し、粗利率30%以上の“残り”があるカテゴリを候補化。
  2. 供給の隙間:国内で入手困難なサイズ/カラー/ロット/限定モデル
  3. 仕様差:海外仕様の方が優れている(例:容量/付属品/デザイン)。
  4. 規制の壁:遵守が手間=参入障壁(食品・化粧品・一部電気製品など)。
  5. 定期/消耗品:サプリ、消耗部材、アクセサリー等は継続購入でLTVが伸びる。

ニッチ判定スコア(例)
検索需要(10点)+競合薄さ(10点)+粗利率(10点)+規制リスク低(10点)+物流難易度低(10点)=合計40点以上を一次基準に。

単位経済性(Landed Cost→販売価格→粗利)の設計

Landed Cost(1点あたり総原価)の式
CIF(商品代+国際送料+保険)
+ 関税
+ 輸入消費税(CIF+関税の10%)
+ 通関/立替/国内送料/ラベル 等

具体例(仮定:アパレル、関税率8%、$=¥150)

  • 商品$200 + 国際送料$30 + 保険$5 ⇒ CIF $235
  • 円換算:$235×¥150=¥35,250
  • 関税(8%):¥35,250×0.08=¥2,820
  • 輸入消費税(10%):(¥35,250+¥2,820)×0.10=¥3,807
  • 手数料ほか:通関/国内送料/梱包等 ¥2,600(仮)
  • Landed Cost 合計:¥35,250+¥2,820+¥3,807+¥2,600=¥44,477(約¥44,500)

販売価格の決め方(2通り)

  • 目標原価率で逆算:販売価格 = Landed ÷ 原価率(例:原価率50%→¥44,500÷0.5=¥89,000
  • 目標粗利額で設定:販売価格 = Landed + 目標粗利(例:粗利¥20,000→¥64,500。ただし市場価格と整合要)

実務:マーケット相場自店の付加価値(保証・同梱・翻訳マニュアル等)で許容価格帯を確認。相場より高い場合はバンドル/セット/延長保証で差別化。

仕入れ・交渉(英語テンプレ含む)

  • 商流の確定:メーカー直/正規卸/公認ディーラー>越境EC>個人セラー。エビデンス(発注書/領収書)を残し、偽物排除を最優先。
  • MOQとリードタイム:少量発注から開始、需要が読めたら発注ロットを最適化。
  • 為替条件:見積り基準レートと価格改定のトリガーを合意(±3円で再見積もり等)。

見積依頼テンプレ(英語)

Hello, we plan to import [product/model].
Could you quote EXW/FOB/CIF Tokyo for 20/50/100 units, lead time, warranty terms, and HS code?
We also need compliance documents (e.g., CE, MSDS, RoHS) if applicable.

物流・通関の運用(事故を“構造で”減らす)

  • インコタームズ:最初はCIF/DAPなど“到着地まで相手負担”を選ぶと学習コスト低。慣れたらFOB+自社手配でコスト最適化。
  • 梱包仕様:緩衝材/耐水/外箱二重。開封動画保存をルール化(破損補償の証拠)。
  • HSコード:税率や規制の“鍵”。商品仕様書や素材割合を入手し、誤分類を防止。
  • 返品・逆物流:初期不良は国内交換で顧客満足を優先、回収品はA/B/C(再販/パーツ取り/廃棄)で分類。

規制・適合(つまずく前にチェック)

  • 電気用品:PSE/PSC、技適(無線)、電圧/プラグ。
  • 化粧品・医薬部外品:成分/表示/数量。
  • 食品:検疫/表示(原材料・原産国・アレルゲン)。
  • 商標・著作権:真正品のみ。ブランドの並行輸入方針も確認(販売差止のリスク管理)。
  • PL法/保証:国内保証の有無、独自保証(初期不良7日/30日等)の設計。

現場Tips:商品ページ/成分表/適合証明/使用許諾は発注前に回収し、Google Drive等で品目別フォルダ化。通関照会に即応できる体制が事故率を下げます。

集客と販売(最初の100件を最短で取る)

  1. モール×自社ECの併用:初速はモール(露出)、中長期は自社(利益/LTV)。
  2. 商品ページ:検索意図に沿った比較・レビュー・使用シーン。サイズ/電圧/互換など“失敗しない情報”を先出し。
  3. UGC/マイクロインフルエンサー提供(シード)→レビュー→SNS導線。返品ポリシーの明確化で不安を解消。
  4. コンテンツSEO
    • 「海外○○の選び方」「並行輸入の注意点」「純正/互換比較」
    • それぞれFAQ構造化データを実装し、買い時/相場/規制の疑問に先回り。

リピートとLTV(単発を“積み上げ”に変える)

  • 消耗品/アクセサリーの同時購入(カート内バンドル、定期便提案)。
  • 保証延長/点検/下取りの有料オプション。
  • 購入後メール3通設計(到着確認→使い方動画→アップセル/レビュー依頼)。
  • 会員化:次回送料/修理割引/先行販売で囲い込み。

数字で管理(損益・在庫・為替)

損益分岐(例)

  • 売価:¥7,980
  • 変動費(仕入・手数料・発送等):¥4,780
  • 限界利益:¥3,200/個
  • 月固定費:¥200,000 → 損益分岐点=200,000 ÷ 3,200=63個/月

KPI(週次レビュー)

  • 原価率 / 粗利率 / 返品率 / 在庫回転日数 / 為替感応度(営業益の1円当たり影響)
  • 価格改定トリガー:USD/JPYが±3円動いたら価格見直し&仕入レート再計算

為替の実務

  • 見積基準レートを明記(例:USD/JPY=150)。±3円超で自動再見積
  • 3ヶ月内の支払は部分フォワードで固定、先々は価格帯スライダー(150±5円で段階的に表示価格変更)。

小さく始める実行計画(30-60-90日)

  • 0–30日:ニッチ選定→試験仕入(5–20点)→FBAまたは簡易倉庫構築→商品ページ公開→初期UGC回収
  • 31–60日:粗利/返品/レビュー分析→仕様改善(翻訳マニュアル/同梱/写真差し替え)→予約販売テスト
  • 61–90日:ロット最適化→物流FOB化でコスト圧縮→自社EC立ち上げ→メルマガ&定期便導入

よくある失敗と回避

  • 安さだけで仕入れる:総コストと相場を見ずに赤字。→“Landed→相場→価値追加”の順で判定。
  • 規制確認を後回し:通関差止→在庫化不能。→品目別チェックリストで事前承認。
  • 在庫の持ち過ぎ:回らない在庫で資金ショート。→テスト→予約→段階発注。
  • 為替を“当てに行く”:逆風で粗利蒸発。→価格トリガー&部分ヘッジのルール化。

個人輸入ビジネスは、「目利き」×「規制順守」×「数字の運用」で小さく堅実に積み上げられます。勝敗を分けるのは、商品選定の“嗅覚”ではなく、Landed Costの可視化・価格改定の規律・返品/通関/為替の標準オペといった“仕組み”。

最初の100件はスピードと既存プラットフォームの力を借り、1000件に伸ばす段階で自社EC・LTV施策に軸足を移す――この二段構えがもっとも再現性が高い進め方です。

まとめと今後の展望

個人輸入は、情報収集と手順を守れば誰でも始められる手軽な方法です。一方で、規制や通関、配送トラブルなど国内取引とは違う注意点があります。将来的には、自分用の買い物から副業・ビジネスへの展開も可能です。

筆者所感
私の経験では、個人輸入を長く続けている方ほど「事前調査」と「現地との信頼構築」を重視しています。安さだけに飛びつくのではなく、品質や取引の安全性を優先する姿勢が、長期的にはコスト削減と利益拡大の両立につながります。

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リスク回避策や成功事例も網羅されており、オンライン販売で自由な働き方を目指すならまず読んでおきたい記事です。
モチベーションUPにも◎

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この記事を書いた人

ECコンサルタント|元EC事業会社のマーケ担当→大手メディア編集・制作を経て入社。D2Cブランドや中小企業のEC事業立ち上げ・改善支援を中心に活動中。特に「商品はあるが売上が伸びない」「運用が属人化している」などの課題解決が得意です。戦略設計から商品ページ改善・SNS活用まで一気通貫でサポートします。クライアントの売上向上と業務効率化にコミットする現場主義タイプ。

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